Similarity
最近私は学校に来るのが楽しい。
理由はわかっている。
一緒に居て居心地のいいあの子が居るから。
あの子の笑っている顔を見るのが好きだから。
「
」
「あ、おはよう光子ちゃん」
は私の顔を見ると至極自然に笑顔で挨拶をしてくる。
そんな事が出来るのは比呂乃たちを除けばきっと
くらい。
この子は私を怖がらない。
「おはよう」
私も自然に笑顔になる。
この子の顔を見ていると、随分と昔に忘れてしまっていた感覚が蘇って来る様な
感じがした。
と居ると素直になれるのよ。
昔の―もうずっとずっと昔の私に戻れる様な気がするの。
それなのに、
最近邪魔な男が一人。
「
」
「あ、桐山くん!おはよう」
成績良し家柄良しの無表情男。
桐山和雄。
も嬉しそうな顔するんじゃないわよ。
そんな綺麗な顔してても男は男よ。
いつ何するかわかったもんじゃない。
は桐山が気に入っているみたい。
でも私は桐山を見ているとなんだかいらいらするの。
何だか自分の居場所を取られた様で。
休み時間に
の方へ行こうとすると、あいつと鉢合わせた。
「あんた、邪魔よ」
「俺が先に来たと思うが」
桐山は無表情で答える。
私はそんな態度にもいらいらした。
「関係無いの。私は
と二人で話したいのよ」
「俺も
と二人で話したい」
「...」
最近ずっとこんな調子。
だから私はちょっと機嫌が悪い。
「どうしたの?桐山くん、光子ちゃん」
そんな私たちの様子に気付いた
が慌てた様子でこっちへ来た。
は困った様な顔をしている。
ああもう、桐山、あんたのせいよ。
「何でもないのよ、
」
そう言うと
はほっとしたように笑う。
本当この子って素直ね。
桐山にいらついていた気持ちがすっと晴れたような気がした。
まだ桐山に文句を言いたいところだったけど、
が困るなら仕方ないわね。
昼休み。
「
、お昼一緒に食べましょう」
「
、一緒に昼食にしないか」
のところへ行って声をかけた途端、また桐山と鉢合わせた。
しかも私と同じ用件みたい。
ああ、何でいつもこうなの…。
「桐山、あんたは屋上で沼井たちとでも一緒に食べてればいいじゃない」
「俺は
と食べたいんだ」
相変わらずの無表情で桐山は言った。
何だか気に食わないのよね、こいつ。
「
、私と食べた方が楽しいわよ?」
「
、俺と食べないか」
ほぼ同時だった。私と桐山の言葉。
はまた困った様な顔をしてから、言った。
「じゃあ、三人で食べようよ」
を挟んで私と桐山は椅子を並べて座った。
不本意だけど、
がしたい事なら仕方ないわね。
「何か嬉しいな、こういうの」
は笑顔で言った。
「そうか、それなら良かった」
桐山はそんな
に頷きながら言った。
あら、こいつ。
こんな顔も出来るのね。
何でそんなに優しい顔してるのかしら。
と私、それに桐山。
変な組み合わせで食べた初めてのお昼。
どうしてか、
今までで一番おいしかったような気がした。
帰り道。
私はやっと
と二人きりになれた。
桐山は沼井たちにせがまれてどうしても行かなくちゃいけない
喧嘩の用事ができたみたい。
ほっとしていた。
と一緒に歩いていた時、
は思いついたみたいに私に言った。
「光子ちゃんと桐山君って似てるね」
「あら、どうして」
私はびっくりして訊き返した。
あんな無表情男と私のどこに共通点があるっていうの?
は私の顔を見上げた。
少し悲しそうな顔をした。
「すごい綺麗な顔してるけど、ちょっと寂しそうなとこが」
私は胸をつかれるような気がした。
私は
に今まであった事を話したことなんて一度も無い。
それでも、
どうしてかこの子にはわかってしまうみたいだった。
の瞳が揺れていた。
心配そうに私を見てる。
「今は寂しくないわよ」
私は
にそう言って微笑みかけた。
「ほんと?」
「ええ、本当よ」
はやっと安心したように笑った。
―
が居るから、今は寂しくないのよ。
そう思ったけど、さすがにそれは恥ずかしくて言えなかった。
「きっと、桐山も…そう思ってるわ」
「え?」
「何となく、だけど」
私の言葉に
はまた少し驚いたみたいだった。
すぐに笑顔に戻って、言った。
「そっか…良かった」
は嬉しそうだった。
普段の私なら
が桐山の事を口に出すだけで機嫌が悪くなっていたのだけれど。
今日は違った。
…どうしてかしらね。
次の日の朝。
いつものように
の方へ行こうとすると、やっぱり桐山と鉢合わせた。
でも、私は何も言わなかった。
「…今日は何も言わないんだな」
桐山はちょっと不思議そうな顔をして私を見た。
「ちょっと話したい事があって。あなたに」
「―話したい事?俺に?」
私は頷いた。そうして、言った。
「私とあなたには足らないものがあるんだわ」
桐山はまた少し驚いたみたいだった。
私は続けた。
「ちょっと違うけど、同じもの。きっと私もあなたも持っていない」
気に食わなかった理由。
に言われてやっとわかった。
「それを、
がくれるから。だから、居心地が良いのよ。
と居ると」
桐山と私は、似ているんだ。
桐山は静かに私の話を聞いた後、不思議そうに首を捻って、言った。
「そうなのかな」
「私なりの考えよ」
桐山はまだわからないような顔をしていた。
私はおかしくなって、少し笑って、言った。
「でも
はあげないわよ」
桐山もそれを聞くと、どこか真剣な顔つきになって、言った。
「俺も
は渡さない」
もう桐山を見てもいらいらすることはなくなっていた。
「でも
の前で位は仲良くしてやっても良いわよ。喧嘩すると
が悲しむしね」
桐山に向かって軽く片目を閉じてから、私は
の方へと向かった。
驚いた様に固まったままの桐山を残して。
今日は私の勝ち…かしら?
おわり
+++後書き+++
初めてまともに光子を書いたかも。
昔からネタはあったんですが、どうにか文章にまとめて見ました。
桐光はあんまり好きじゃないんですが、この二人って似たとこあるなあ、と。
二人にとって癒し系?な主人公にしてみたくて書きました。
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