No way to say


ノブさん。

秋也くんから貴方の事を聞かされた時は、とても驚きました。
そして、ただただ涙が零れました。
貴方の気持ちは嬉しいもののはずでした。
貴方が生きている時に、貴方の口から聞いていたらどんな気持ちになっていたのか。
自分でも分からなくなりました。

あたしは子ども過ぎました。
自分の気持ちに夢中過ぎて、周りが見えないほどに。

受け止めるのに、長い時間がかかりました。
でも、思い出せば思い出すほど、貴方があたしを想ってくれていたことが分かりました。

…ありがとう。






ー川田くん。

慶子さんには、会えましたか?
貴方の事を思い出す時、それが一番に気にかかります。

貴方があたしと秋也くんにくれた言葉が、まるで昨日のことのように思い出されます。
貴方がいなければ、決して今のあたしと秋也くんは存在していないでしょう。

…ありがとう。
そして、ごめんなさい。

あたしはあの事を忘れることができませんでした。
貴方がわざわざ引き受けてくれた辛い役割のこと。

「忘れろ。殺したのは俺だ。いいな。忘れろ」
あの後、あなたは怖い顔をしてあたしにそう言ってくれました。
でも。
忘れられません。
忘れられる筈がありません。




…桐山くん。
今、貴方はどうしていますか。

あたしがしたことは、決して許されないことです。
許されてはならないことです。

あたしは貴方の希望を奪ってしまいました。
手に入るかもしれなかった未来を。

でも。
最後に、貴方があたしを見ていて、銃をあたしに向けなかったのは、気のせいでしょうか。

…どうしてでしょう。
決して、あたしの思い過ごしだとは思えないのです。

「まだわからない未来を、あいつは持つことが出来ない」
川田くんが、貴方のことをそう言っていました。
それは、本当だったのでしょうか。
貴方には、ついに聞けないままでした。
貴方の最後に見せた、冷たくてーでもとても寂しそうな目ばかりが思い出されます。

どうか生きて。
貴方にも、生きる権利はあった筈なのに。

…ごめんなさい。
いくら謝っても、許されることでは無いけれど。

あたしの頬に残された、痛みの消えたやわらかな傷跡は、消えない貴方の記憶を思い出させてくれます。

そうして、あたしは、あたしの命が、貴方の命と引き換えに在る事を思い出すのです。
どんなに辛い時でも。

ーありがとう。


どうやって伝えたらいいのかわからないけど。

…あたしは生きています。
あたしも秋也くんも、生きています。

あたしは、確かに生きていた貴方達のことを、忘れません。