名前は、何てつけようか。
まだ、男の子だってわかったばっかりじゃない。
―嬉しいんだよ、本当に。
そうね、それは私もそう思うわ。
待っているから。
あなたが生まれて来るのを。
私たちは、とても楽しみに待っているから。
あなたが生まれて来たら、たくさんたくさん愛してあげるわ。
だから、どうか無事に生まれて来てね。
生まれて来たら、楽しい事がいっぱいある。
悲しい事も、いっぱいある。
それでも、幸せになって欲しいんだ、お前には。
笑ったり、泣いたりして。
自分の生き方は、自分で決めて。
名前は、何てつけようか?
お前の名前は今日から「桐山和雄」だ。
お前は私の言う事だけを聞いていればいい。
何も考えずに、ただ従っていればいい。
お前が笑えなくても、泣けなくても。
自分で何かが決められなくても、責めはしないよ。
ただ、私の言うとおり、
優秀な子供で在り続ければ、それでいい。
どうか、笑って。
どうか、泣いて。
どうか、誰かを愛して。
誰かに、愛されて。
私たちも、あなたを愛してるわ。
誰にも興味を持つ必要はない。
誰かを愛するなんて下らない事だ。
お前は一人で在り続ければそれでいい。
お前が変わる必要なんて、ないんだ。
私はお前を桐山家の後継ぎとして、認めているよ。
頼むから、生きてくれ。
どうか、生きて。
私たちの命がどうなっても。
あなただけは、生きて。
どうか、幸せになって。
もう新しい代わりは用意してある。
帰って来られたら、それでもいい。
帰って来られなければ、それまで。
どっちでも、構わないよ。
お前の代わりは、用意してある。
わからない。
俺には時々、何が正しいのか、よくわからなくなるよ。
一体、どっちが正しかったんだ?
おわり
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